- 監修:名古屋大学大学院医学系研究科 病態内科学講座
腎臓内科学 教授 丸山 彰一 先生 - 名古屋大学医学部附属病院 腎臓内科
講師 加藤 規利 先生
aHUSの発症機序は?
aHUS における持続的かつ制御不能な補体活性化のメカニズム
遺伝子変異、遺伝子多型および自己抗体が、持続的かつ制御不能な補体活性化の原因となります1,2,3)。
C3:補体第3 成分、CFB:補体B 因子、CFH:補体H 因子、CFI:補体I 因子、MCP:膜補助因子蛋白質、THBD:トロンボモジュリン、
CFHR:補体H 因子関連蛋白質、C5:補体第5 成分
継続的な内皮細胞の損傷による不可逆的な組織障害1,2,3)
aHUS患者さんでは、持続性の制御不能な補体活性化や内皮細胞の損傷が生じます1,2,4)。
aHUSの症状は内皮細胞の損傷により引き起こされます2)。
aHUSは糸球体、細動脈および動脈の損傷を引き起こす可能性があります。
補体制御異常によるaHUSは、突発性および進行性の臓器不全や死亡のリスクとなる可能性があります1)。
aHUS患者さんでは、補体が活性化するような要因によりTMA発症のリスクが高まります1,2)
補体が活性化するような要因の一つとして妊娠が報告されています。
TMAの徴候が産後期にみられる場合、または分娩後/妊娠終了後48時間を超えても持続する場合には、臨床的にaHUSが疑われます3)。[海外データ]
非典型溶血性尿毒症症候群
aHUSは産後期に顕在化するとの報告があります4)。[海外データ]
試験概要:
妊娠中または分娩後にaHUSの臨床症状を呈する患者19 例およびTTP の臨床症状を呈する患者21 例の後ろ向き解析。2000~2008年に補体異常評価の基準施設であるジョルジュ・ポンピドゥー欧州病院(フランス、パリ)の免疫学研究室に紹介されたaHUS患者を対象とした。溶血性貧血、血小板減少および急性腎不全が同時にみられる場合にaHUS と診断した。これまでに報告された症例から、TTP に伴いADAMTS13 活性の著減が認められる患者を特定した。
* 補体制御異常によるTMAと定義。
** 10%未満
遺伝子の関与
aHUS患者さんにおいて発見される遺伝子変異の数は経時的に増加しています1-4)。[海外データ]
aHUSの臨床診断または治療方針の決定には、補体制御因子の遺伝子変異を特定することは必須ではありません5)。
[利益相反:本論文の全著者はAlexion Pharmaceuticals, Inc.の諮問委員会のメンバーである。]
http://www.complement-db.org/advance_search_results.php?dosearch=1&source=lab&dosearch=1&source=lab&genead%5B%5D=all&reference=&condition%5B%5D=aHUS&cutoff=0.01 (2023年2月8日アクセス) .