体の中でどんなことが起こるの?
活性化した補体が細い血管の内側を攻撃することで血栓が形成されます
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)では、活性化状態にある補体が全身にはりめぐらされた細い血管の内側の細胞(血管内皮細胞)を傷つけます。
血管内皮細胞が傷つくと、炎症などが起こるとともに、細胞の傷に反応して血中の血小板が過剰に活性化されてしまいます。
本来、血小板は、切り傷などを負ったときに傷口に集まることで血液を固める止血の役割を担っているのですが、血管内皮細胞の傷に反応して活性化された血小板は血管内で集まり、さらに血小板の活性化や炎症に反応した白血球も集まってきて、血栓と呼ばれる血液のかたまりを形成するのです。
制御不能な補体の活性化により、血管が傷つけられ、血栓が形成されます
全身の細い血管で形成された多数の血栓が臓器などに影響を及ぼします
『補体制御因子がうまく機能しない → 補体の活性化がコントロールできなくなる → 自分の血管内皮細胞を攻撃してしまう → 血小板などの血液の成分が集まって血栓が形成される』ことは、全身のいろいろな臓器にある細い血管で起こり、これら臓器の損傷や機能障害を引き起こします。
このような病態を血栓性微小血管症(TMA)といいます。
TMAは他の病気でも起こるのですが、aHUSでは持続性のコントロール不能な補体の活性化によってTMAが起こるため、「補体介在性のTMA」と呼ばれます。
補体介在性のTMAは、さまざまな症状や合併症を引き起こすだけでなく、症状の悪化が生命をおびやかす事態を招くこともあるので、TMAを進行させないようにすることが重要です。